機械換気の致命的な問題点
 
 〜自然換気が必要な訳〜




 機械換気の限界

 機械換気には、第一種から第三種まであって、いずれにしても換気がコントロールされているイメージがあります。ファンが定常的に回り空気がどんどん出ていく、いかにも頼もしいイメージが機械換気にはあります。果たして機械による計画換気はそんなに万能なのでしょうか?

 換気の本来の目的は、

 @居住空間をフレッシュな空気で満たすこと 
   (人のため)

 A湿気などが対流しないように建物の隅々まで空気を入れ替えること 
   (建物やモノのため)

 です。

 機械換気を万能と思う人の中にはエアコン中心の生活の人もいます。その場合、換気を24時間換気システムに頼ることになります。冬も夏も窓を締め切り、「高気密住宅ではエアコンを一年中つけっぱなしにすると意外に電気代も安くすみますよ。エアコンをつけたり消したりしない方がいいですよ」というハウスメーカのアドバイスを実践している人もいます。

 このパターンのライフスタイルの最大の欠点は健康的でないことです。人間は春夏秋冬に合わせて調節をしています。夏にエアコンの中にしかいない人は、発汗作用が衰えると言われています。多少の暑さ、寒さ等に対しては人間の方が調節する、我慢するということが必要です。最近、熱中症が著しく増えていますが、エアコン生活とも関係があると言われています。発汗作用が衰えた人は熱を体外にくみ出す機能が衰えているのです。もちろん、近隣環境にも依存しますのですべての家でというわけにはいかないと思いますが、エアコンを使わない住環境もそんなに悪くはないと思います。真夏であっても猛暑日を除いて、関東地方以北であれば多少の風で意外に快適に過ごせるものです。

 それから、2番目の欠点は、機械換気は完全密閉を前提としていることです。これは実生活上やや無理があります。どこか窓がちょっとでも開いていれば、もはや機械による計画換気は崩れています。例えば良くある第三種換気では、室内の空気を換気ファンで外へ出し、相当する量の空気が計画された口から室内に入ってくるようにしてます。その場合、窓を開けるということは計画された空気の取り込み口を変更することに他なりません。例えば、夏に夜寝る時はクーラーを消して、窓を開けて寝たりしませんか?当家は、デライト24時間換気システムという第3種換気システムです。若干甘く見ていたのですが、湿気のある夏に窓を頻繁に開けた生活をしていたら、換気経路がショートサーキットとなり、基礎断熱の基礎空間〈床下)の空気が循環せず停滞し見事にカビが生えてしまいました。換気の悪い洋服ダンスにカビが生えるのとまあ似たようなものです。

 このように機械換気だけの生活というのは理想的過ぎるのであり実生活はちょっと違います。自然換気も生活の一部としてむしろ積極的に取り入れることを前提として換気計画に取り入れたほうが現実的ですし、人間らしい生活、エコな生活も出来ると思います。

 うちの近所は高気密住宅しかない新しい住宅街ですが、外から見ると窓を開けて生活している人は実は結構たくさんいるように思えます。実生活は理屈ではないのです。ハウスメーカの説明に対し「自分は本当に1年間窓を閉切った生活をするのかな?」と疑問を感じたら、新興住宅街でいろんな家を見渡してみてください。答えは明らかです。

 当家の工夫