風の設計〜そよ風で爽やかな我が家を実現
  
=風力換気の基本的な考え方=



 そよ風を最大限に利用
 
 日本の昔からの家屋は極めて通風という観点では優れていたのだと思います。湿気の多い日本の気候に合わせて長い間に培われた知恵が、日本の昔からの家屋に凝縮されています。先達に学べば、寒い冬はともかく、春夏秋は概ね快適に過ごせるはずです。
 通風の良い設計を行えば、夏でさえもかなりの日はエアコンに頼らずとも気持ち良く過ごせることができます。春夏秋と冬とのバランスをどうとるか?これが最大の課題と思います。

 自然の風を利用する意義は次のようにまとめられます。

 (1)省エネルギー
 (2)何より人の健康
 (3)建物の健康
 (4)自然と過ごすヒーリング

 春夏秋のそよ風の設計

 風の入るところ、出るところを作るのが基本です。
 
(気をつけなければならない点〜チェックリスト)

 風の抜け道を作ることがポイントになります。気密のためになるべく窓を少なくとアドバイスするハウスメーカもいますが、本当にそこが風の通り道として重要でないか等を考えた上で窓の有無、位置等を決断するのか良いと思います。

★窓の配置
 窓の平面的な位置は、出きるだけ対面させる。東−西、南−北、東南−北西 等あらゆる角度でいろいろ見てみる。素人目で見てもそんなに難しいことではありません。
 各部屋でもなるべく窓は通り抜けるようような複数の窓をつける。あるいは、部屋の窓と廊下等のコンビネーションで通風を確保できるか見る。
 1F、2F等各々で平面でチェックしたら、さらに、上下でも1Fから入った空気がうまく上に抜けるかなど見渡す。特に暖かい空気が1Fで滞留しないように出来れば最高です。

★階段の配置
 階段を建物の中央に設け、垂直の抜け道にして、際上部に換気窓を設けると、水平垂直の風の流れができるとのことです。

★雨の日への配慮
 雨の日でも窓が開けられるよう、窓から雨が降りこみにくい用にしておくと窓の開け閉めで心配が減ります。

★中庭
 中庭を作ると温まった空気が上抜けやすくなります。が、もちろんそんなゆとりがない場合も多いでしょう。

隣地との間隙
 少しでも風通しを意識した設計にすると良いでしょう。が、なかなか贅沢に出来る方も限られているとは思います。


 自然換気の弱点克服

1.冬
 換気のための窓や通風孔を設けることは、建物の断熱に開口部を設けることに他なりません。高気密高断熱住宅と窓をどのように開けるかは十分過ぎるほど良く考えなければなりません。高性能の窓も多いですが、それでも一般住居の中で熱が逃げる部分は窓が多くを占めるのが現状です。
 そんなことを考えながら、春夏秋冬の四季を通じて快適に過ごせる準備、シミュレーションを十分にしておく必要があります。日本の場合、地方にもよりますが、関東地方でも11月くらいから2月くらいまで結構冬は長いので注意が必要です。

 (気をつけなければならない事項)
★壁の断熱よりも窓の断熱を慎重に
 Low-Eガラスや2重窓、3重窓の気密性の高い、熱の逃げにくいサッシもいろいろあります。結構高価なのですが、慎重に吟味したいところです。C値がいくらよくとも、サッシ部で断熱が確保できていなければ全く意味がないと言っても良いと思います。

★冬は機械換気が活躍
 冬は、窓を閉じて生活することが多くなります。健康に爽やかに過ごすためには定期的に空気の入れ替えが不可欠です。24時間換気システムは、この作業を自動的にやってくれます。問題は、冷たい外気を各部屋に直接取り込むような設計にすると快適感がだいぶ損なわれますので機械換気のルートには十分注意して設計することが必要です。

2.春夏秋でも窓を開けられない日
 結構窓を開けられない日は春夏秋でも結構あります。
 好みにもよりますが、柔軟に生活することが大切です。

 ・花粉の季節
 ・雨の天気
 ・夏の猛暑
 ・風の強い日

 こんな日は窓が開けられません。


 パターンシミュレーションのすすめ

 各季節でのシミュレーションを夏と冬という大雑把なパターンだけで実施しても、失敗する可能性があります。やや細かくいろんな日を想定してどのような過ごし方をするのか、各々慎重に検討することが重要と思います。

★春の花粉の季節
 窓を閉めて生活
★春のうららかな季節
 窓を開ければ爽やかな季節
★梅雨
 カビの防止に、除湿の気になる季節
★初夏
 窓を開ければ爽やかな季節
★真夏
 窓を開ければ比較的爽やかな季節。ただし、風のない日はクーラー等も。
★真夏(猛暑日)
 窓を閉切ってクーラー
★秋
 爽やかなそよ風のの季節
★冬
 窓を閉切れば、そんなに寒くない季節
★真冬
 暖房が必要な季節

 漠然と考えていた季節も、細かく分類するといろんな状況〈季節)があると改めて思いませんか?